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Excuse me

君が笑って 僕が支えて それでいいじゃないか なんて笑って

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レヴァリエのイラスト

revarie (2)



文芸部の部誌『夢幻』に掲載予定の『レヴァリエ』より、レヴァリエちゃんです。
中途半端に色塗ってるのは仕様です。作品にそういうシーンが出てくるからです。

左の変な生き物は蝶々で、文字はレヴァリエです。スタイリッシュにしようと思って、細く書いたら読みにくくなりました。

部誌の発行に前後して、HPのほうに本編を載せようと思うので、その時は是非読んでいただけたら幸いです。
内容は、「夢の中の少女に恋した大学生の物語」です。
序章だけ載せときます。



□ 初 夢 □

 ――不思議と、身体の感覚はなかった。
 どこかもどかしく動く自分の身体、それでいて、どこか超人的に動く自分の身体。
 際限なく、制限された物理法則。
 機械的なようで、怪奇的。
 歪んだように真っ直ぐだ。
 色彩豊かで白色で。
 果てもなく、厳しくも優しくもなく。

 ただ“無”に支配された花畑で、俺はキミと出会った。――



 咽るような、花の香りが鼻腔をくすぐった。
 長谷田翔太(はせだ しょうた)は、目を瞑ったまま、しかし覚醒して思考を巡らせた。
 ――何かがおかしい。
 いや、“何かが”おかしい、というのは間違いかもしれない。
 正確には、“何もかもが”おかしい。例えば、横たわるこの身体が地面に感じる触り心地だとか、屋内とは思えないような冷気だとか。
 翔太は、確かに昨晩、自室のベッドで就寝したはずだった。
 季節は春。大学生活がスタートしたばかりで、慣れない生活に戸惑っていたが、徐々に順応を始めるその時期であった。

 翔太は、ゆっくりと瞼を開いた。長時間眠っていたせいか、瞼を開く際に乾いたものを剥がすような音がした。
 花のにおいの正体は、すぐに分かった。何の捻りもないが、文字通り花だ。それも、辺り一面を覆うような、広大な花畑。
 太陽の光が降り注ぐこの場所に、明順応しながら翔太は周囲を見渡す。
 無辺の色彩は、どうやら地平線まで続いているらしかった。例え、地平線を越えた先へ行ったとしても、そこで見る景色は同じなのではないか、
ここはどこまでも花畑が広がる、そういう世界なのではないか。
 そう思わせるほどに、ここは広大無辺な花の園なのであったが、翔太は頭をぶんぶんと振った。そんな馬鹿な話があるはずがない。

 翔太はゆっくりと立ち上がる。
 立ち上がった瞬間に、地面が傾いて、奈落の底へと転がっていってしまうような気がしてならなかったが、どうやら杞憂だったようだ。
 翔太はしばらく思考した後、足踏みをして、手のひらを何度も開閉して、身体機能に異常のないことを確認した。
 おかしいのはこの場所だけで、自分はいつも通りのようだ。翔太はほっと息を吐いた。吐き出された空気は白かった。

 さて、これはどういうことだろう。
「誘拐か? それとも、死んだのか?」と翔太は首を傾けた。
 もしもこれが誘拐なのであれば、こんなだだっ広い場所に放置する意味などないのだから、その線は薄いだろう。
 となれば、後者となるが、こちらも非現実じみている。
 一面のお花畑に、三途の川でもあれば、まさに死後の世界として納得できたのだが、片一方だけではいまいち信憑性に欠けてしまう。
「うーん……もしほんとに死んだんだとしたら……ちょっと記憶を辿ってみよう」
 昨夜、自分は何をしていたのか。翔太は記憶の糸を手繰り寄せた。
 押しの強いサークル勧誘を断りきれず、飲み会に参加させられ、しかし運の良いことにそこで気の合う友人を見つけ、意気投合して会を抜け出し、ファミリーレストランでドリンクバーだけ注文して会話に興じ、十一時過ぎに帰宅した。
 ラップに包まれた夕飯を解凍し、スマートフォンを弄りながら食事を済ませ、手早くシャワーを浴び、湯冷めしないうちにベッドの中に潜り込んだ。
 以上である。

「じゃあ……これは夢なのか?」
 それにしては、やけにリアルじゃないか、と彼は訝しんだ。
 五感は残っているし、脳もすっきりしている。おまけに、時折花畑に立つさざ波は、現実のそれと比べて遜色なかった。
 齢十九の青年は、この不可思議な状況に成す術を失ってしまったようだった。神はその姿を見て、哀れんだのであろうか。一つの手がかりを彼に与えた。
「ん? うわっ!」風に撫でられ、波紋のように舞った花びらが翔太に肉薄した。思わず腕で顔を防ぐ翔太に、花弁とはまた別の何かが纏わりつく。
 彼はゆっくり腕を顔面から放し、その腕に蛇のように絡みついた、細い何かを目にした。
「何だよ、これ」それは、雪のような色のリボンであった。ベールのようにきめ細かく、肌触りの良い柔らかいリボンだ。
 そのリボンが、少しだけ温かかったのに翔太は気がついた。このリボンの持ち主が、まだどこか、近くにいるのかもしれない!

 ほかにどうしろと言うのだろう。広大無辺の花畑に放り出されて、方角も分からないこの状況。
 蜘蛛の糸よろしく、この場所の手がかりになりそうなものが齎《もたら》されたのだ。しがみ付くしかないだろう。
 青年は、風上の方を向くと、意を決したような表情で歩き始めた。

 
 幾ばくか歩くと、遠く彼方の方に、一つの影が現れた。
 相変わらず視界は花畑一色で、文明社会とは遠くかけ離れていたが、それでも誰かがいるという事実に、翔太は頬を緩ませた。
「おーい!」右手を頭上高く翳し、左右に大きく振った。もちろん、リボンは握られている。
 かなり大きな声だったが、影には届かなかったらしい。一切反応は見られない。
 カラカラと、百花が笑った。翔太はそれを踏み潰し、影に向かって歩を進める。花々がブーイングを奏でたが、彼はそれすらも無視した。

 いよいよ、影との距離は五十メートルを切った。それでも、影は翔太には気づかない。
 翔太は少し切歯扼腕して、その影をじっと見つめた。よく見れば、その影の正体は少女であった。
 白色のワンピースに身を包み、淡い黄色のカチューシャを太陽に反射させている。
 その少女は無邪気で幼いようで、それでいてどこか憂いを帯びた水色の瞳をしていた。
 一見して、西洋人のように思えるが、よく見ればやはり同じ日本人だろう。
 ハーフかも知れないな、と彼はそう思った。
 どこか浮世離れした姿格好だが、髪の色は黒髪で、少し安心した。もし、これで彼女の頭髪が金髪だとか、青髪、赤髪だったとしたら、翔太はもう二度と元の平和な暮らしには戻れないだろうと、そう思ったからだ。
 近頃、巷で流行っている現代ファンタジー物の小説のほとんどが、ボーイミーツガール、所謂「少年が妙な風貌をした少女と出会い、何やかんやあって騒動や事件に巻き込まれていく」形式だったからである。
「ねえ、キミは誰? ここで何してるの」
 翔太は、恐る恐ると言った様子で、少女に話しかけてみた。
 彼女は、無数の花と、それから二匹の蝶々と戯れていた。そしてやはり、翔太の声は届かないみたいだった。
「うぐ……」何だかんだで、こうも女の子に無視され続けると、流石にダメージは大きい。翔太は自虐的な表情になりながらも、さらに少女に近づいた。
 そしてそのまま、後数歩というところまで近づいたのだが、依然翔太の存在はスルーされ続けたままである。

 どうしよう。彼は暫し逡巡したが、ここで踵を返す選択肢はないだろう。
 仮にあったとして、その選択は愚行に他ならない。
 青年はそろそろと、手を伸ばした。声を掛けても、反応しないのなら、こうするしかないだろう。
 手が、少女の肩に触れた。刹那、肩がピクリと震え、小女はゆっくりと翔太の方を向いた。
「あ、やっと気づいて……」
 翔太は少し笑いかけた。しかしそれより少し早く、女の子の手が、翔太の手を払いのけた。
「あ……」
そして、間断入れず、間合いを取られる。
「キミは……」彼は言葉を吐いた。
「私は、レヴァリエ。また、道に迷ったの?」
 また、とはどういう意味か。レヴァリエというのは、名前なのか。それとも偽名?
 俺のことを知っているのか、どうしてここにいるのか。
 聞きたいことは山ほどあったはずなのに、翔太の視界は壊れかけのモニターのように点滅を始め、さらにモザイクが四隅から中央に向かって広がり始めた。
 何なんだ、これは。
 翔太は呻き、ふらついたが、画面の中央、まだ見える少女は、翔太の方を向いて、“まるで彼じゃない別の誰かと会話を続けている”ようだった。
 固かった表情が、次第に解れていく様子が見て取れる。
 その中で、ほんの一瞬過ぎった憂い顔に、翔太は気がついた。
 それは本当に瞬きの出来事で、手を伸ばそうとしたその一弾指に、少女の顔も花畑も蝶々も何もかもが、完全にモザイクに覆われてしまった。


※内容は変更する可能性があります。
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